第78章 聞くな、見るな

「私と林田修の婚約関係が続いている間に、『一緒に展覧会を見に行く』だの、『深夜に悩みを聞く』だの……挙げ句の果てに『あなたのところでしか息ができない』なんて言うのは、さすがに一線を越えていませんか」

「彼女は林田修の優しさと同情につけ込んで、少しずつ自分の世界に引きずり込んだんです。夫のいる女が、もうすぐ結婚する私の婚約者に、やれ体調はどうだの、寒くないかだのと気遣って、夜中まで付き添う。これ、何なんですか? 皆さん、これは一体何なんですか?」

周防雅姫は、あえて「浮気相手」だの「誘惑」だの、下品な言葉は口にしなかった。

けれど、吐き出される一語一語が、罵倒よりもずっと残酷だった。

...

ログインして続きを読む