第百章

葵はまるでとんでもない冗談でも聞いたかのように鼻で笑った。

「和也、ただ気持ち悪いだけよ」

そうは言っても、赤く染まった耳の裏が彼女の動揺を物語っていた。マゾヒストというのはこういうものだ、どいつもこいつもまともじゃない……

和也は低く笑い声を漏らした。

それ以上言い争うことはせず、いきなり彼女の体を横抱きに抱え上げた。

「和也! 何するの! 離して!」

葵は猫のように毛を逆立てて叫んだ。

「汚いって言ったでしょ! 触らないで!」

「汚くても我慢しろ」

和也は彼女を抱いたまま、階段の方へと歩き出す。

「お前は俺の妻だ。夫が妻に触れて何が悪い」

「誰が妻よ! 離婚するって...

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