第百十三章

和也の顔は一瞬で真っ赤になり、耳の根元から首筋まで朱に染まった。

彼は葵を抱きかかえたまま早足で別荘に入り、声を潜めて言った。

「馬鹿なこと言うな! 痛い目見せるぞ」

「痛い目? どうやって?」

葵は鼻で笑い、手を伸ばして彼の首に腕を回すと、顔を近づけた。

「本当に私を痛い目に遭わせられるなら、とっくの昔に大人しくなってるわよ」

彼女の吐息には微かな酒の匂いが混じり、和也の顔にかかる。

その生温かい感触に、和也の心臓はドクンと大きく跳ねた。

葵は彼の赤くなった耳たぶを見て、得意げに笑う。

彼女は身を乗り出し、彼の唇にチュッと素早く口づけた。

キスを終えると、彼女は舌打ちを...

ログインして続きを読む