第13話

院長はそれだけ言い残すと、藤原家の人々を一瞥もせずにその場を立ち去った。

和也は遠ざかる院長の背中を見つめ、眉間を深く寄せた。

抱きかかえていた雪菜をそっと下ろし、スマートフォンを取り出してある番号へ発信する。

「……ある人物を調べてくれ」

通話を終えて顔を上げると、雪菜が今にも泣き出しそうな、可憐で痛ましげな瞳で彼を見つめていた。

「和也……NA先生が診てくれないなら、もういいの。私みたいな役立たず、生きていても仕方ないし……いっそ早く死んでしまった方が……」

「馬鹿なことを言うな!」

和也は彼女を強く抱きしめた。

「絶対に死なせはしない。俺を信じろ」

雪菜は彼の胸に顔を...

ログインして続きを読む