第131章

言い捨てると、葵はもう二度と彼に視線を向けることなく、きびすを返して歩き出そうとした。

「葵! 待ってくれ!」

和也は途端に血相を変えて駆け寄り、彼女の手首をきつく掴もうと手を伸ばした。何があろうと行かせるものかという必死の形相だった。

彼がすがりついてくることなど、葵はとうに予想していた。とっさに身を翻して避けると、和也の手は空を切り、勢い余って大きくよろめいた。

それでも諦めきれず、和也が再び手を伸ばそうとしたその瞬間――正美が鋭く前に出て、葵をかばうように立ち塞がった。そして振り上げられた拳が、和也の横顔に容赦なく叩き込まれた。

鈍い音が響き、和也の顔が大きく弾かれる。口の端...

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