第140章

葵は冷ややかな声で彼の言葉を遮った。顔を上げ、和也を射抜くその瞳には一欠片の感情も浮かんでいない。あるのはただ、氷のような拒絶だけだった。

「彼を怒鳴りつける理由がどこにあるの」

「正美は私が手続きに付き添ってもらうために頼んだ人よ。私が望んで来てもらったの。あなたが彼に大声を出す筋合いなんてないわ。それから、いちいち『妻』だなんて呼ばないで。今日ここへ来たのは、あなたとの関係を完全に断ち切るためなんだから。その独りよがりな態度、本当に吐き気がする」

彼女は手首の時計に目を落とすと、一切の起伏がない淡々とした口調で告げた。

「九時よ。時間の無駄はやめて、中に入りましょう。離婚手続きを...

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