第154章

梨乃が顔をしかめ、前に出ようとした瞬間、葵はそっと彼女の腕を引き、さりげなく自分の背後へ庇った。

前に立った葵は、淡々とした視線を岩井澄子に向けた。何も言わなかったが、その全身からは氷のような冷たい拒絶のオーラが放たれていた。

岩井澄子は葵を上から下まで値踏みするように見たが、誰なのか見当もつかない様子だった。

どうせ梨乃が見栄を張るために連れてきた友人だろう。

澄子は鼻で笑うと、再び梨乃へ視線を戻し、さらに見下したような口調で言った。

「何? 見栄張るために助っ人でも連れてきたわけ? 梨乃、言わせてもらうけど、ここがあんたみたいな貧乏人が来るような場所だと思ってるの?」

「うち...

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