第百六十三章

その言葉に、電話の向こうは再び沈黙に包まれた。

数秒後、再び聞こえてきた葵の声には、隠しきれない嘲笑が混じっていた。

「そうだとして、何? 和也、私がどこへ行こうと、あなたに関係あるの?」

「私たちはもうすぐ離婚するの。離婚したあと、私が死のうが生きようが、海外へ行こうが国内に残ろうが、あなたには一切関係ない。干渉しすぎよ」

「干渉したいわけじゃないんだ」

和也の声は一瞬で沈み込み、濃い無力感と苦渋が滲んだ。

「俺はただ……葵、たとえ離婚したとしても、復縁できないわけじゃないだろ」

「もし……もし復縁できなくても、いい友達にはなれる。俺は……」

「友達?」

葵は彼の言葉を遮...

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