第166章

百合子はそこでようやく安堵の息を吐き、冷ややかな視線を雪枝へと向けた。その声にはありありと不満が滲んでいる。

「雪枝、朝っぱらからここで何を騒いでいるんだい」

「お義母さん、騒いでなどいませんよ」

雪枝はすぐさま被害者ぶった顔を作り、言いつけるように口を尖らせた。

「葵さんが私をないがしろにするんです。こちらが話しかけても無視するなんて、礼儀の欠片もありませんわ」

「礼儀、だと?」

百合子は鼻で笑い、射抜くような鋭い目を向けた。

「この家で一番礼儀知らずなのは、他でもないお前だろう、雪枝!」

「朝早くから人の部屋の前に陣取って、開口一番に罵声を浴びせる。そんな真似をしておいて...

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