第181章

「離して!」

葵は冷たい声で言い放ち、その手を乱暴に振り払った。

振り払われた雪菜は、数歩後ろへよろめき、そのまま地面に倒れ込んだ。

「あっ!」

雪菜が苦痛に満ちた呻き声を上げる。

葵は眉をひそめた。さっきは全く力を入れていないのに、どうしてあんなに派手に転ぶのか。

その時、梨乃が唐突に悲鳴を上げた。

「血!」

葵が視線を落とすと、雪菜の白いスカートの下から、じわじわと赤い血だまりが広がっていくのが見えた。

周囲を通りかかっていた数人の観光客がそれに気づき、あっという間に人だかりができる。

「うわっ! どうしたの?」

「あの女の人、血が出てるじゃない!」

「黒い服の女...

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