第185章

「葵、僕にチャンスをくれないか」

正美は葵を見つめた。

その熱を帯びた眼差しは、ただ一つの確かな答えだけを求めているようだった。

葵は小さく息を吐き出す。

「先輩、今は本当に、自分の恋愛のことなんて考えられなくて……」

その言葉に、正美は自嘲気味に笑う。

これ以上食い下がっても、彼女を困らせるだけだろう。

正美は静かに息をついた。

「分かった。君を困らせるつもりはないんだ」

そう口にするだけで、胸の奥が鈍く痛む。

少しの沈黙の後、彼は穏やかな声で言った。

「もし、いつか誰かと向き合おうと思えた時が来たら……その時は、僕を一番に考えてくれないか」

葵に向ける視線には、隠...

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