第192章

葵はその様子を見て、彼がどこも悪くないのだと確信した。

当然、顔に浮かぶ表情も冷ややかなものになる。

「夢よ。そのまま寝てなさい」

葵は仏頂面で言い放つ。

そして、くるりと背を向けて洗面所へ向かった。

せっかく来たのだ。顔くらい拭いてやって、少しは目を覚まさせよう。

「葵! 行かないで!」

葵が離れようとするのを見て、和也は途端に焦り出した。

彼女を行かせたくなかった。

「葵、行かないでよ……お願いだから……」

これは自分の夢ではないのか。なぜ夢の中でまで、葵は自分を置いていこうとするのか。

考えれば考えるほど悲しくなり、和也は夢の中で葵を問い詰めた。

その言葉に、葵...

ログインして続きを読む