第32章

葵が病院に到着し、院長と話をしている最中、和也が雪菜を連れてやって来たと内線が入った。

院長は気まずそうに葵に視線を向け、乾いた笑いを漏らした。

「……随分と到着が早かったわね」

もし雪菜の病気が仮病だと見抜いていなければ、よほど治療を急いでいるのだと勘違いしていただろう。

だが、和也に無理やり従わされたことは葵にとって非常に腹立たしく、今はまだ彼らのいる場所へ行く気になれなかった。

葵の顔色が優れないのを見て、院長は少し躊躇った後、小声で切り出した。

「あのさ……どうせもうすぐここを離れるんだし、最後にもう一人、優秀な人材を育ててみない?」

その言葉に、葵は顔を上げて怪訝そう...

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