第57章

口を滑らせれば滑らせるほど泥沼だ……

蓮は自分の口をペチペチと軽く叩いた。

「はいはい、俺が悪かった! 俺の失言だ!」

電話の向こうで和也が鼻で笑う音がしたが、それきり黙り込んだ。

傍らにいた雪菜は、そのやり取りを耳にして一瞬で顔色を青ざめさせた。

彼女はそっと手を伸ばし、和也の袖を引いた。

「和也、誰からの電話? 何かあったの?」

和也は雪菜には目もくれず、彼女の背中を軽くポンと叩いてから、電話口に向かって冷たく言い放った。

「お前に用はない。さっさと切れ」

蓮は恩赦を受けた死刑囚のように、慌てて通話を切った。

胸をなで下ろし、ふうっと深いため息をつく。

まったく、寿...

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