第64章

和也の焦る様子を見て、葵の胸は何か重いもので塞がれたように苦しくなった。

彼女は和也を見つめたまま数秒沈黙し、やがて静かに頷いた。

「分かったわ! 彼女が刺激に耐えられないって言うなら、私が出て行く! 二人の邪魔はしない、これで文句ないでしょ?」

そう言い捨て、きびすを返して立ち去ろうとする。

和也の腕の中にすっぽりと収まっていた雪菜は、葵が出て行くと聞いて、こみ上げる歓喜を隠しきれなかった。

一刻も早く葵に消えてほしい。そうすれば、和也は自分だけのものになるのだから!

だが、その喜びに浸ったのも束の間。最近、葵が何かと理由をつけて和也から大金を引き出していたことを思い出した。

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