第69章

「帰らない!」

葵は即座に反発した。先輩とは久しぶりに会えたのだ。もっとたくさん話がしたい。

「お前に拒否権はない!」

和也は一切の妥協を許さなかった。

「今日は絶対に俺と一緒に帰るんだ!」

その様子を見て、正美が止めに入ろうと一歩踏み出す。

だが、和也は彼を鋭く睨みつけ、警告を含んだ声で牽制した。

「笠島さん、これは夫婦の問題です。これ以上は踏み込まないでいただきたい。笠島さんの滞在先までは、こちらで責任を持って送り届けますから」

そこまで言われてしまえば、正美も無理に引き止めるわけにはいかない。

彼は胸の奥で燻る怒りをぐっと押し殺した。

「藤原さん、葵は少し意地っ張り...

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