第86章

「はいはい、うちの葵は一番すごいからね。一人で八人相手にしても余裕だろ」

蓮はすぐに頷いて調子を合わせ、満面の笑みを浮かべた。

「でもさ、こんな些細なことで葵が手を下す必要ないって。その綺麗な手を汚しちゃもったいない。俺に任せてくれれば全部片付けるから」

そう言いながら、彼はごく自然に葵の隣の空席に腰を下ろし、慣れた手つきでテーブルのボトルを手に取ると、当たり前のような顔をして葵のグラスに酒を注ぎ足した。

傍らでその甲斐甲斐しい蓮の様子を見ていた梨乃は、たまらずこっそりと葵の腕を引っ張った。

彼女は葵の耳元に顔を寄せ、声を潜める。

「ねえ葵、水原蓮を見てよ。あんたの前じゃすっかり...

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