第87章

二人の距離は極端に近く、蓮の腕が葵の肩に触れんばかりで、はたから見れば親密そのものだった。

和也の目には、その光景が極限まで神経を逆撫でするものに映った。

いいご身分だな。やはりこんな所で他の男と密会していたのか!

さっき藤原家の別荘にいた時は、俺のことなど少しも気にかけていない素振りだったくせに。裏ではこんな場所に転がり込み、他の男といちゃついて、あんなに楽しそうに笑っている。

あの気高さも冷淡さも、果たして俺一人に向けられたものなのか、とくと見せてもらおうじゃないか!

和也が放つ冷気は周囲の空気さえも凍りつかせそうだった。彼は奥歯を噛み締め、混み合う客を掻き分けるようにしてボッ...

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