第97章

「分かった。すぐに向かう」

和也は低い声で応じ、通話を切った。振り返って雪菜へ視線を向けるが、その顔には困惑の色が浮かんでいる。

「雪菜、今聞こえた通りだ。会社で急なトラブルがあって、俺が直接出向いて対応しなきゃならない。少し会社へ行ってくる」

雪菜は彼の手をぎゅっと掴んだ。

「私も行く! 和也、一人でここに残るなんて怖いよ。離れたくない……」

「駄目だ、いい子にしててくれ」

和也は彼女の頭を撫で、有無を言わさぬ口調で告げた。

「これはビジネスの交渉だ。相手は取引先の幹部ばかりで、正式な場になる。お前がついてくるのは不適切だ。それに、俺も仕事で行く以上、お前の面倒まで見きれない...

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