第99章

葵は一歩後ずさって、再び彼との距離を置いた。

「和也、今さらそんなこと言っても無駄よ。もう信じないから」

その時、和也のスマートフォンが狂ったように鳴り出し、リビングの張り詰めた空気を破った。

眉をひそめて画面を見ると、『晃』の文字が点滅している。不快感が瞳をよぎり、反射的に通話終了のボタンを押そうとした。

「出れば?」

葵がふいに口を開いた。その声には隠しようのない皮肉が混じっている。

「またあなたの九条さんに何か起きて、助けを待ってるんじゃないの。後になって私のせいにされても困るし」

和也の指が止まった。結局、応答アイコンをスワイプし、そのままスピーカーモードに切り替える。...

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