第101章

英子も慌てて駆け寄ってきた。

最初、星川千奈は鳴瀬颯真がまた芝居を打っているのだと思った。だが、鳴瀬庄司と英子が雨の中に倒れた男を抱え起こし、肩を貸して立たせた瞬間――固く閉じられた瞼と、血の気の失せた顔が目に入る。胸の奥がひゅっと縮み、反射的に身構えてしまう。

「若奥様、私が運転します。後ろで颯真様を見ていてください。すぐ病院へ!」

鳴瀬颯真を車に乗せると、英子は切羽詰まった声で続けた。

「おばあさまが命令なさって……今夜は誰も颯真様に関わるなって。若様でさえ駄目だそうです。今、頼れるのは若奥様だけで……」

言いにくそうに言葉を濁し、すぐに付け足す。

「病院に着きさえすれば、あ...

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