第103章

「はい、終わり。下は自分で洗って」

星川千奈はシャワーを止めると、鳴瀬颯真の傷口に貼られた防水テープを、そっと剥がしていった。

――ピリッ。

うっかり引っかけたのか、颯真は痛みに息を呑む。

「洗うって決めたなら、痛いのも込みでしょ。自分で我慢して」

声には、情けも何もない。

鳴瀬颯真は、どうしても比べてしまう。

「……風見逸央にも、そんな感じなのか?」

自分でも気づかないうちに、千奈が風見逸央に見せる親しさと頼り方が、いつの間にか「比較対象」になっていた。

「彼は、あなたと違うから」

千奈はまぶたすら上げない。

「比べる意味がない」

濡れたタオルを放り、乾いたものを取...

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