第115章

星川千奈は、ふっと目を見開いた。振り向いた先でぶつかったのは、鳴瀬颯真の瞳いっぱいに滲む脆さと、どうしようもない悲しみ。

――そんな顔、彼の目に宿るのを見たことがない。

「鳴瀬颯真……もう、私には関係ない」

力の抜けた声が零れた。

車内の空気が息苦しくてたまらない。千奈はシートベルトを外し、ドアに手を伸ばして降りようとする。

その手首を、鳴瀬颯真が強く掴んだ。

次の瞬間、ぐいっと引き寄せられ、千奈の体はそのまま彼の膝の上へ――抱き上げられるように座らされた。

「……っ!」

不意打ちの体勢に、羞恥が一気に込み上げる。反射的に押し返そうとするのに、びくともしない。腕の力が、信じら...

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