第120章

深夜、病院の休憩スペース。

鳴瀬颯真のスマホが、しつこいほど鳴り続けていた。

結局、彼は通話ボタンを押してしまう。受話口から、小林琴音の泣き声まじりの声が飛び込んできた。

「颯真、お腹が急にすごく痛くて……どこにいるの? 怖いよ……」

「桐原卓也に連絡させる」

胸の奥に、苛立ちがじわりと湧く。鳴瀬颯真は冷たく言い捨て、そのまま通話を切った。

続けて電源を落とす。

ようやく、耳が静かになった。

病室から出てきた看護師が、彼のそばへ寄って恭しく報告する。

「鳴瀬社長、先ほど鳴瀬奥さんの点滴を交換いたしました。中で少しお休みください」

「……ああ」

鳴瀬颯真は短く返し、病室の...

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