第121章

ただ――今日、彼女が遺したあの手紙を読んだら、そこにはこんなふうに綴られていた。

『逸央。私はずっと、あなたに私のことだけを覚えていてほしいって、身勝手に願ってた。でもきっと、私はあなたの隣を最後まで歩けない。もしいつか、あなたがまた心から好きになれる女の子に出会えたら……そのときは、過去も、私のことも、手放して。ちゃんとその子を愛して、そして自分自身も大事にして。逸央は本当にいい人だから……私の代わりに、ずっと誰かがあなたを愛してくれたらいいのに……』

市川楓牙の声が、夜の静けさを裂いた。

「風見逸央……」

風見逸央ははっと我に返り、淡々と返す。

「……なんでもない」

車が夜道...

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