第124章

彼が踵を返して立ち去ろうとした、その瞬間だった。

背後から、親友の桐原卓也に腕を掴まれて引き戻される。

「何を逃げてんだよ。ずっと会いたがってたくせに」

今や桐原卓也にすら、鳴瀬颯真の元妻への想いが単純じゃないことは見抜かれていた。

「まさか丸山澄佳が『こっちで誕生日パーティーやってる友だち』って言ってたのが、お前の元嫁だなんてな。出来すぎだろ」

桐原は顔色の沈んだ鳴瀬にぐっと近づき、声を落とす。

「正直さ……さっきからずっと、手の中のネックレス見てたよな。あれ、もともと星川千奈に渡すつもりだったんじゃねえの」

鳴瀬颯真が振り向くと、桐原卓也は片目をつむってみせ、先にすたすたと...

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