第127章

鳴瀬颯真の心は――結局、揺れてしまった。

深い眼差しのまま、喉仏がごくりと上下する。

そして英子に半ば引っぱられるように、車へ乗り込んだ。

小林琴音も大きく息を吸い込み、後を追うように乗り込む。

二人が後部座席に腰を下ろすと、英子は後部の収納ボックスから乾いたタオルを二枚取り出した。

「若様、小林さん、早く拭いてください。秋の雨は冷えますから、風邪を引きますよ」

「ありがとう、英子」

小林琴音はタオルを受け取る。

英子は車内の空調温度を少し上げ、エンジンをかけ直すと、そのままヴィラへ向けて走り出した。

鳴瀬颯真もタオルを受け取ったが、手は動かない。魂が抜けたみたいに、ただ座...

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