第142章

鳴瀬颯真は喉の奥でくすりと笑い、そこに滲んだのは自嘲だった。

「そりゃそうだろ」

速水誠士郎は、さも当然と言わんばかりの顔をする。

「でも今、星川千奈は颯真のことなんて相手にしてない」

桐原卓也が言葉を継いだ。

「悪いのは颯真さんだよ。自分の気持ちに気づくのが遅すぎた」

「俺はさ、星川千奈の中にはまだ颯真さんがいると思うんだよな」

その一言に、鳴瀬颯真の胸の奥がぱっと灯る。

速水誠士郎は続けた。

「惚れてなきゃ、颯真さんと小林琴音のことなんて気にしない。金目当てなら、離婚のときにもっとふんだくれたはずだ。なのに聞いたぞ。颯真さんが自分から贈った高い宝飾品、ひとつも持っていか...

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