第152章

車のドアが閉まった、その瞬間。

彼女は窓越しに外を見た。鳴瀬颯真がその場に立ち尽くし、複雑な色を宿した瞳でこちらを見送っている。

星川千奈は淡々と視線を返し、静かに別れを告げた。

「さようなら、鳴瀬社長」

黒塗りのセダンはゆっくりと車列へ溶け込み、やがて視界から消えていった。

鳴瀬颯真の胸の内が、すとんと空っぽになる。まとわりつく寒気が、いっそう濃くなった。

そのとき、村上が警察署から小走りで出てきて、恭しく報告する。

「鳴瀬社長、今回の件ですが……小林家の長男、小林亮も絡んでおります」

鳴瀬颯真の目が沈む。

驚愕が、瞳の奥で弾けた。

村上が重々しくうなずくのを見て、鳴瀬...

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