第160章

風見逸央は、星川千奈が薬指からダイヤの指輪を外すのを見つめた瞬間、彼女が自分の恋人になると頷いてくれた日の光景が、脳裏に鮮やかによみがえった。

その指輪は――事故から目覚めた彼が、わざわざ彼女の指にはめた「約束」のしるしだった。

星川千奈は手を上げ、指輪を彼の目の前へ差し出す。

風見逸央は言葉を失い、喉の奥がきゅっと締まった。

「……別れるってことか?」

いつもなら泰然としている男が、今は隠しきれない動揺を滲ませる。

「知紗のことなら、説明できる。……それとも、君のお腹の子どものことが――」

風見逸央の瞳の底に沈む痛みを見て、星川千奈の胸は酸っぱく疼いた。それでも、意志は揺れな...

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