第162章

彼が目を凝らす間もなく、車はすでに走り去っていた。

「鳴瀬社長、どうされました?」村上が追いつき、顔色をうかがう。

鳴瀬颯真は視線を引き戻す。「……いや。見間違いだ」

「明日の夜、白鳥社長が席を設けるそうで、ご出席のご招待が来ております」村上が予定を報告した。

鳴瀬颯真は眉間にわずかに皺を寄せ、そのまま社用車へ向かう。

「断れ。忙しいと言っておけ」

     *

星川千奈がホテルに着くと、千鳥結亜がすでにロビーで待っていた。

澄玲は車酔いでもしたのか、それとも見知らぬ場所が不安なのか、ずっと千奈の胸にしがみついたまま、誰にも抱かれようとしない。

「私が抱っこしてるから、荷物...

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