第164章

下山道では、星川千奈が先を歩き、彼はその背中を追った。ほんの数歩の距離。なのに、分厚い壁が一枚、間に立ちはだかっているみたいだった。

墓園を出るころにはすっかり日が落ち、J市はきらびやかな灯りに包まれていた。

黒のビジネスセダンが、人気のない道路を滑るように走る。助手席の護衛が振り返り、控えめに尋ねた。

「奥様、このままホテルへお戻りになりますか?」

星川千奈は数秒、黙ってから言った。

「風見グループに寄って」

「かしこまりました」

護衛は頷き、続けて告げる。

「ご予約のお食事はすでに用意できております。途中で受け取りますね」

「……お願い」

千奈は淡く返し、窓の外へ視線...

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