第166章

男は星川千奈を背後からがっちり抱え込み、唇を押しつけようとしてくる。星川千奈は吐き気がするほど嫌悪し、必死に身をよじって抵抗した。

階段の上にいた鳴瀬颯真がそれを目にした瞬間、顔色がさっと沈む。駆け寄ろうとした、その時――彼より先に動いた影があった。

風見逸央が、外から冷気をまとったまま足早に入ってくるなり、男の手首を掴んで容赦なく締め上げた。

「いだだだっ! やめろ、痛ぇ!」

男は悲鳴を上げ、身動きひとつできない。

「手を離せ」

風見逸央の声は氷みたいに冷たい。星川千奈を一気に引き寄せ、自分の背後へ庇うように回した。

そのまま男を突き飛ばす。男はよろめき、腰を強く棚にぶつけて...

ログインして続きを読む