第169章

その直後、速水誠士郎から電話が入った。

「颯真さん、今大丈夫? さっき空港で星川千奈にばったり会ってさ。写真、もう見た?」

鳴瀬颯真は低く「……ああ」とだけ返した。声は押し殺したように沈んでいる。

「……あの男と子ども、颯真さんも知ってたのか?」

速水誠士郎は意外そうだったが、鳴瀬颯真がそれ以上何も言わないと察すると、空気を読んで話を切り上げた。

「丸山澄佳が出てきた。いったん切るわ。また今度、飲もう」

通話が切れる。

画面いっぱいに、家族四人の写真が戻ってきた。

鳴瀬颯真は写真を拡大し、西園寺蒼介の顔を凝視する。数年前、どこかで一度だけ会ったことがある――P州北部の名門、そ...

ログインして続きを読む