第173章

鳴瀬颯真は自嘲気味に口元を歪めた。――馬鹿だな。結局、俺が勝手に夢を見ているだけだ。

三年前、あの子が無事に生まれていたら……たぶん、今ごろはこれくらいの歳だった。

「ねえ、いくつ?」

鳴瀬颯真は堪えきれず手を伸ばし、ふにっと柔らかな頬にそっと触れた。

「三さい」

永太はむちむちの指を三本立て、真面目な顔で言い直す。

「せいかくには、二さい五かげつ」

「二歳五か月……」

鳴瀬颯真の視線が、永太の顔に吸い寄せられる。胸の奥が、じわりと重く沈んだ。

「永太様!」

静けさを切り裂くような切迫した声。テラスの扉が勢いよく開き、ベビーシッターが駆け込んでくる。永太の前にしゃがみ込む...

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