第181章

星川千奈はドアノブに掛けた手を、ふっと止めた。振り返りもしないまま扉を引き、まっすぐ外へ出ていく。

鳴瀬颯真が、その背中に向かって低く唸った。

「永太が俺の息子なら――今度は、絶対に連れて行かせない」

分かっている。子どもを楔にしなければ、彼女を繋ぎ止める可能性は、もう一欠片も残らないのだと。

翌朝、酒が抜けた鳴瀬颯真は、胸の奥がぐしゃりと潰れるほど後悔した。酔って理性を失い、星川千奈を完全に怒らせてしまった――。

予定どおり、ホテルの上層部が朝から業務報告に訪れた。随行の列には白鳥雪奈の姿もある。白鳥成実が今回の投資案件に関わりたがっており、彼女は昨夜このホテルに到着したばかりだ...

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