第186章

弁護士が離婚協議書と財産放棄に関する書面を差し出した。

「星川さん、こちらにサインを。署名が済めば西園寺家とは一切の関係がなくなります。24時間以内にR国を出国してください。おじい様からは補償金が出ます。あなたとお子さんがこの先、暮らしていけるだけの額です」

星川千奈は書類を見つめた。胸の奥がきゅっと苦しくなる。

千奈は小さな声で尋ねた。

「……澄玲に、もう一度だけ会えませんか」

おじい様も弁護士も、黙ったままだった。答えは、言わずとも分かる。

星川千奈は目を閉じ、ペンを取って署名した。

弁護士は書類を回収し、冷えた声で期限どおりに出国するよう促す。

星川千奈はその場に立ち尽...

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