第199章

鳴瀬颯真は分かっていた。永太がどれほど自分に懐こうと、西園寺蒼介があの子の心に占める場所だけは、誰にも埋められない。

駐車場で車を出し、颯真は星川千奈の会社へ向かった。

後部座席の永太は乗り込んで間もなく、こてんと眠りに落ちる。颯真は時折ルームミラー越しにその寝顔を確かめ、目元をやわらかく緩めた。

夜十時半。会社ビルの前に車を停めると、ちょうど残業を終えたアンナと同僚が出てくるところだった。

アンナは車から降りた颯真を一目で認め、丁寧に会釈すると、同僚の腕を引いて足早に去っていく。十分ほど離れてから、抑えきれない声で言った。

「ねえ、今の人が誰か分かる? 鳴瀬グループの社長、鳴瀬颯...

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