第21章

深夜、庭豪クラブ。

鳴瀬颯真は一件の接待を終え、数人の取引先に囲まれたまま、二階の個室から出てきたところだった。

上に立つ人間は、わざわざ誇示しなくてもいい。そこにいるだけで自然と人が集まり、まるで星々が月を取り囲むような空気が生まれる。

長い脚で先頭を歩く颯真は、顔立ちも纏う気配も、嫌でも視線を引き寄せた。今夜のフロアで、いちばん目立つのは間違いなく彼だ。

クラブの吹き抜けの中央を通りかかったとき、颯真の歩みがわずかに止まる。

視線が落ちた先は、一階の喧騒。若い男女がぎっしりとひしめき、グラスの音と笑い声が弾けていた。

「ここ、特別なサービスでもあるのか」

唐突な一言。目はあ...

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