第210章

治療が終わった頃には、もう午後2時を回っていた。鳴瀬颯真は車椅子を押し、星川千奈が座り直すのを支えてから、VIP治療室をゆっくりと出ていく。

「今日は長かったな。腹、減ってるだろ。どこで食う?」

「……疲れた。家に帰りたい」

千奈が小さく答えると、颯真は少し考えた。

「家の向かいに新しい店ができただろ。まだ食ってないよな。テイクアウトして帰ろう」

そう話していたところへ、ふいに人影が立ちはだかった。白鳥雪奈だ。

千奈は意外そうに瞬きをしたが、颯真の表情は動かない。最初から来ると分かっていたかのように。

雪奈は相変わらず身なりだけは整っている。けれど、いつもの尊大さは影を潜めてい...

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