第212章

「鳴瀬芽衣!」

鳴瀬颯真が低い声で制した。怒気が、その一言に滲む。

鳴瀬庄司の奥様が慌てて鳴瀬芽衣の袖を引き、空気を変えるように笑みを作った。

「宴会、もうすぐ始まりますし……おばあさま、先にホールへ参りましょう」

「そうね、ホールへ」

周りも口々に同調する。

星川千奈もそっと鳴瀬颯真の袖を引き、鳴瀬芽衣に構うなと目で訴えた。

「よし。みんなで行こう」

おばあさんは執事と子や孫たちに囲まれ、ぞろぞろとホールへ向かう。

司会者の朗々とした挨拶のあと、おばあさんが簡単に言葉を添え、鳴瀬家の子孫に見守られながら、自らシャンパンタワーの栓を開けた。

ぱん、と小気味いい音。

続い...

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