第227章

「川井耀平……」

鳴瀬颯真は鋭い眼差しで、相手を射抜くように睨みつけた。

「通報したのは知ってる。だが無駄だ」

川井耀平は海面を指さす。

「この船はもうすぐ海域を抜ける。わざわざお前を呼んだのは、女どもを助けさせるためじゃない。まとめて地獄へ落としてやるためだ」

薄く笑い、言葉を継いだ。

「もっとも……身の程をわきまえるなら、あの二人だけは見逃してやってもいい」

そのとき、船室から男が一人出てきた。手には金属のトレー。上には注射器と、小瓶の薬剤が載っている。

鳴瀬颯真はそれを見るなり、小林琴音を乱暴に甲板へ放り投げた。勢いよく転がった彼女の腕が、ガンッと手すりにぶつかる。

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