第233章

宝飾店を出た瞬間、頬を刺すような冷たい風が吹きつけた。だが星川千奈の頭は、かつてないほど冴えわたっていた。

――やっぱり。

J市にいたあの鳴瀬颯真は、徹頭徹尾の偽物だ。

本物の鳴瀬颯真は、きっとどこかで彼女を待っている……!

その日の午後、千奈は高級クラブで、土地で名の知れた探偵ジャン・レノと会った。

無精ひげを生やした男。元情報機関の人間で、表も裏も知り尽くしている。

「ホシカワさん。大金を払って俺を呼んだ。で、何をさせたい?」

レノが気だるげに問うと、千奈は黒いカードを一枚、無言でテーブルの上へ滑らせた。

「男を一人、張ってほしいの」

鳴瀬仁弥の写真と情報を、ぱん、と卓...

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