第237章

烈風が唸りを上げる。

鳴瀬仁弥は地上200メートルの虚空にぶら下がり、見上げた先にある――自分と寸分違わぬ顔を見つめていた。

「……放して」

鳴瀬仁弥は涙でぐしゃぐしゃになりながら叫ぶ。

「兄さん、もう放してよ。俺は兄さんの脚を折って、半年も閉じ込めて……奥さんと子どもだって、殺しかけた。恨めばいい。俺は死んで償うべきだろ!」

「死ぬな!」

鳴瀬颯真が掠れた咆哮を上げ、仁弥の腕を掴む手に力を込める。浮き出た青筋が、必死さを物語っていた。

「死ねば償えるとでも思ってるのか?」

颯真は弟を睨み据える。

「お前を十何年も探してきた。俺に借りた分も、鳴瀬家に借りた分も――一生かけて...

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