第28章

「客間で寝ろって言っただろ?」

星川千奈はどこか後ろめたそうに言った。

布団をめくり、枕を抱えてドアのほうへ向かう。

「じゃあ、客間で寝るから……」

鳴瀬颯真の横を通り過ぎようとした瞬間、手首をがしっと掴まれた。

「星川千奈!」

不機嫌さを孕んだ声。けれど最後は、諦めたような溜息に変わる。

額に巻かれたガーゼを目にした途端、責める言葉は喉の奥で消えた。

「……なんで電話出ない」

充電が終わったスマホには、彼からの不在着信が残っていた。

時刻は――彼が小林琴音と一緒に病院で妊婦健診を受けていた、その時間帯。

「退社したら迎えに行くって約束しただろ。英子を行かせたのに、お前...

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