第30章

鳴瀬颯真は、彼女がずっと望んでいた「機会」を善意で差し出しただけだった。なのに星川千奈の口から出たのは、まるで別の意味にねじ曲げられた言葉で。

――なんて恩知らずだ。

これまで衣食住に困らせたことでもあったか?

星川グループがこの数年、鳴瀬颯真から引き出してきた億単位の資金。さらに、他所なら頭を下げても手に入らないような案件やコネ。いったい何の対価だと思っている。

腹立ちまぎれに、彼は笑ってしまった。皮肉を混ぜて吐き捨てる。

「よく言う」

星川千奈は喉を詰まらせるように顔をこわばらせたが、引かない。

「事実を言っただけです」

鳴瀬颯真は言葉に詰まった。

言い返しかけて、やめ...

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