第44章

星川千奈は、そのシャツを見間違えるはずがなかった。去年、鳴瀬颯真に贈った結婚記念日のプレゼント――自分でデザインし、自分の手で裁断して縫い上げた一着だ。

それが今、小林琴音の身体にぴたりと沿っている。

皮肉にもほどがある。

「これが……あなたが言ってた『想像してるような関係じゃない』ってやつ?」星川千奈は冷笑し、鳴瀬颯真を刺すように見据えた。「深夜に、あなたの初恋の女が、うちで、私があなたに作ったシャツを着てる。さっきの保証、滑稽だと思わないの?」

掴まれた手を乱暴に振りほどき、二歩、後ずさる。瞳に宿るのは失望だけ。

もう話し合う余地などない。目を赤くしながら、氷みたいな声で言い切...

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