第51章

「千奈、あなたも来たのね……」

小林琴音が、薄く笑って口を開いた。

「うん」

星川千奈はそれ以上の会話を拒むように、まっすぐ鳴瀬颯真の前へ出る。

「小林さんが来たなら、私はもう帰るね」

そう言い残し、踵を返した。

鳴瀬颯真は千奈に押しつけられた車のキーを見下ろし、反応が一拍遅れる。すると琴音が反射的に彼の腕へ絡みついた。

「颯真、千奈は帰っちゃったし……私が送っていく」

颯真は遠ざかる千奈の背中を見送ってから、ようやく我に返ったように小さくうなずいた。

桐原卓也が眠たげに大あくびをする。

「もう空が白んできてるぞ。琴音が送るなら、俺は帰って寝るわ」

小林琴音が鳴瀬颯真を...

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