第57章

「英子、薔薇マンションへ」

西郊外れの別荘へ戻るためのランプに差しかかる直前、道中ずっと黙っていた鳴瀬颯真が唐突に言った。

薔薇マンション――星川千奈が最近、身を寄せている場所だ。

英子はすぐにウインカーを出してハンドルを切る。車は市街地の中心へ向けて滑り出した。

そのころ千奈は、すでに部屋に戻っていた。

点滴を一日中受け続け、病院からの帰り道は家に着くまで眠りっぱなし。薬のせいか、もともと限界まで疲れていたのか――帰宅してシャワーだけ浴びると、また深く沈むように寝落ちした。

風見逸央はリビングに残り、仕事を片づけながら彼女を見守っていた。1時間おきに寝室へ行き、体温を確かめる。...

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