第76章

風見逸央の視線が星川千奈に落ち、隠す気もなく褒めた。

「確かに。俺もそう思う」

「ありがとうございます」

あんなふうにまっすぐ見つめられて、千奈は少し気恥ずかしくなる。それでも口元は勝手にゆるんでしまった。

「お二人、本当にお似合いでございます。私、こんなに素敵なご夫婦は初めて見ました」

店員が重ねて持ち上げる。

風見逸央は返事をせず、一歩前へ出て千奈の隣に立った。肩を並べて鏡を見つめ、ふっと笑う。

「……そうだな」

そして彼は、彼女の耳元へわずかに身を寄せる。熱を帯びた息が、さらりと耳朶を撫でた。

その「そうだな」が、彼女に向けた同意なのか、それとも自分自身への肯定なのか...

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